認知症の症状の中で、食べたばかりなのにすぐに食べたい、と要求するなど過食の症状が見られる場合があります。この記事では、過食の症状が出る原因や対応方法についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください(※この記事は医師監修の記事ではありません)。
認知症を発症すると、異常な食欲を示すケースがあります。さっき食べたばかりなのに、まだご飯を食べていないから用意してほしいと要求したり、目のついた食べ物を手当たり次第食べてしまうといったことがあります。 周りの家族は本人の食べていないという主張を理解できないため、「さっき食べたばかりだからやめておいたほうがいい」「次のご飯まで待ってね」といった形で説得しようとするものの、本人を納得させることは難しいのです。
認知症による過食に悩まされている介護者は多くいます。そこでこのような言動の原因と対策について一度考えてみることが必要になってきます。
認知症を発症するとさまざまな症状が見られるようになりますが、その症状は「中核症状」と「周辺症状」に分類されます。中核症状は物忘れがひどくなる記憶障害や日付などがわからなくなる見当識障害などが挙げられます。対して周辺症状としては徘徊や不眠、過食といった症状が見られるようになります。
満腹感や空腹感は、脳下垂体の満腹中枢や摂食中枢と関係しています。認知症を発症すると、満腹中枢が正常に働かなくなる上に、摂食中枢が刺激されて満足感を感じることができないために過食の症状が起きるといわれています。
過食の症状が見られる場合、その原因が記憶障害であることも。認知症の場合には、「食事をした」という記憶そのものが欠落してしまうことから、食事をしていないと思い込んでしまうために過食の症状が出るようになります。
出来事の全体をまるまる忘れてしまうのは、認知症の特徴であるといえます。この部分が食べたものを忘れてしまうもの忘れとの大きな違いです。
初期の認知症の場合、食べ終わった食器を見せながら食べていたことを説明することで、本人が納得することがあります。そのため、食べ終わったとしても食器を敢えて片付けないといった対策を行うことが必要となるでしょう。また、食事が済んでも食後のお茶などを飲みながら過ごすことによって、「ご飯を食べた」という印象を持ちやすくなります。
食事をしたことを説明しても納得しない場合には、敢えて本人の「食べたい」という訴えを受け止めて軽食を渡すという方法もあります。軽食を渡す際には、食事の時間や献立を伝えてみるのも効果的な場合も。もう少し待つことで食事が出ると理解することで、「食事を出してもらえない」という考えから「もうすぐ食べられる」という思いに変わることもあるでしょう。
また、少量でも軽食を出すことによって食欲が満たされて、落ち着きを取り戻すことにつながる可能性もあるとされています。
過食の症状がおさまらない場合には、食事回数を増やすという方法も考えられます。ただし、要求するまま食事を出すのではなく、小分けにするという点がポイント。また、かさがあるけれどもカロリーの少ない献立を工夫するのも一つの方法です。食事回数を増やすことによって、「食べたい」という要求を満たすのもいいでしょう。
ただし、食べ過ぎてしまうと健康上での問題につながることから、適切に対処することが必要になってきます。
過食に関する症状に対応する際には、食事から意識をそらすようにするのも良い方法とされています。例えば簡単なゲームを一緒にやるようにしたり、ちょっとした家事をお願いするなどの方法も良いでしょう。食後に時間を持て余している場合に食べたいという欲求が出てくることが多いとされているので、意識を少し違う方に向けるようにしてみることをおすすめします。
食べ物が目に入ると、どうしても食べたいという気持ちが出てきてしまうものです。そのため、認知症の方の目に入る範囲、手が届く範囲に食べ物を置かないようにする、また置いたとしてもごく少量にするといった方法も過食への対策として考えられます。
また、冷蔵庫に鍵をつけたり、中身が見えないところに食べ物をしまうなどの対策を行いましょう。
認知症を発症すると過食の症状が出るイメージを持つ方も多いかもしれませんが、多くの場合は一過性の症状といわれていますので、どのような対処方法が合っているのか探してみましょう。
関連ページ
【医師監修/ホクト株式会社協賛】認知症予防のための食事改善ガイド
認知症予防と食事・栄養の関係