認知症の増加が社会問題になっている昨今、「コリン食」に注目が集まっています。これは、神経伝達物質であるアセチルコリンが認知症に関わっていると考えられているため。この記事では、アセチルコリンとアルツハイマー型認知症の関係、さらにコリン食についてご紹介します。
(※この記事は医師監修の記事ではありません。)
アセチルコリンとは、神経刺激を伝えるために働く神経伝達物質です。近年、このアセチルコリンがアルツハイマー型認知症の発症に関わっていると考えられています。
認知症には、発症する原因によりいくつかの種類に分けられます。その中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」と呼ばれるもので、その割合は全体の6割以上。さらに、アルツハイマー型認知症は女性の方が多く発症する傾向があるとされています。
アルツハイマー型認知症は、まだはっきりとその原因はわかっていないものの、脳内に溜まったタンパク質によって神経細胞が破壊されて脳の萎縮が起こり発生すると考えられており、「まだら認知症」と呼ばれる症状が特徴。これは、全体的な記憶障害が起こるわけではなく、部分的に記憶障害がおきます。例えば、昔のできごとは良く覚えているものの、最近起きたことは忘れてしまう、といった状態。はじめは軽度のもの忘れから始まりますが、だんだんと進行することで時間や場所に関する感覚もなくなるといった症状がみられます。
はじめのうちは単なるもの忘れと捉えられてしまうこともありますが、周りから指摘されたとしても思い出せないのがアルツハイマー型認知症の特徴です。
このような症状が出てくるアルツハイマー型認知症は、脳内にあるアセチルコリンやセロトニン、グルタミン酸などの神経伝達物質の異常も関係すると考えられています。
参考:厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について (参考資料)」脳内の神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンは、非常に重要なものとして位置づけられています。
記憶を司っている脳の「海馬」と呼ばれる部分には、アセチルコリンが多く存在しています。しかしアルツハイマーが多認知症を発生した場合には、アセチルコリンの量が減少するとされています。また、アルツハイマー型患者が亡くなった後に脳を解剖した結果、アセチルコリンの活性が低かった、という報告も。
このことから、アルツハイマー型認知症を予防するためにもアセチルコリンの減少を防ぐことが大切と考えられており、アセチルコリンの元となる「コリン」を摂取することが認知機能をサポートするとされています。
アセチルコリンの減少を予防する鍵となるコリンは、人の体ではほとんど作り出すことができません。そのため、食べ物から摂取を行うことになります。例えば卵黄やレバー、大豆、ニシンなどにコリンが多く含まれていますが、コリンを多く含む食品は「コリン食」とも呼ばれることがあります。日本におけるコリンの平均摂取量は300mg程度とされていますので、この量を目安として摂取を心がけると良いでしょう。
また、上記のようなコリンを多く含む食品とともに摂取するのがおすすめなのが、レバーや牡蠣などに多く含まれているビタミンB12。一緒に摂取することで、より記憶力や集中力の向上が期待できます。
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