地中海沿岸の人々が伝統的に続けてきた食生活を「地中海食」と呼んでいます。この食事方法が認知症予防に働きかけるのではないか、と注目されています。そこでこの記事では、地中海食とはどのようなものか、またどのような効果が期待されているのかという点についてまとめました。
(※この記事は医師の監修記事ではありません)
「地中海食」とは、地中海沿岸(イタリアやギリシャ、スペインなど)の国々の人々が食べている伝統的な食事のこと。具体的な特徴がある食事方法です。
以上のような特徴を持つ食事方法で、不飽和脂肪酸や抗酸化物質を多く摂取することが特徴とされています。また、肉よりも魚を多く摂取することにより、飽和脂肪酸を多く含む食品の摂取量が減る点もポイント。これらの理由から健康に良い食生活であるといわれています。
1985年には地中海沿岸の国に住む人はコレステロール値が低く、冠動脈疾患が少ない傾向があるという内容が報告されたことで、地中海食が注目されています。
心筋梗塞や脳卒中予防や、肥満が見られる方のダイエットなど、健康に良いということで注目されてきた地中海食ですが、近年では認知症の予防にも効果があるかもしれない、といわれさらに注目されています。
バルセロナでは、認知機能低下が見られない447人の方を対象とした研究が行われています。この447人を「脂質を制限した食事」、「地中海食+オリーブオイルを使用(1週間に1リットルのオリーブオイルを提供)」、「地中海食+ナッツを使用(1日に30グラムのナッツを提供)」という3つのグループに分けた上で食事を摂ってもらい、その後の認知機能について調査しています。
その結果、「「記憶」だけでなく、その他の認知機能においても、地中海食の摂取が認知機能の低下を抑えている結果となりました。なお、オリーブオイルをふんだんに使用したグループと、ナッツを使用したグループの間では、大きな差は見られませんでした。」とのことです。
引用元:PRESIDENT Online 究極の食事"地中海食"は本当に有効なのか
(https://president.jp/articles/-/25240?page=4)
地中海食が健康によく、さらに認知症予防に働きかける可能性がある、という点には不飽和脂肪酸と抗酸化物質の2つが鍵となっていると考えられます。ここでは、それぞれの物質がどのような働きを持っているのかをご紹介します。
オリーブオイルやナッツには不飽和脂肪酸が多く含まれることが知られていますが、この不飽和脂肪酸は脳の血管や細胞膜の材料になるものです。そのため、不飽和脂肪酸を多く摂取することは、脳の機能の維持につながると考えられています。
また、地中海食では肉より魚を多く摂取することから、自然と飽和脂肪酸の摂取量が減少します。この飽和脂肪酸を過剰に摂取した場合、血中のLDLコレステロールを増えてしまい動脈硬化のリスクを高めることになります。このことが脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患の発症リスクも高め、結果として血管性認知症が起こる可能性に繋がってしまいます。
地中海食では飽和脂肪酸の摂取を抑え、不飽和脂肪酸を多く摂取することで、認知症の予防に繋がるのではないかと考えられています。
また、地中海食では抗酸化物質を多く摂取できる点も特徴のひとつ。抗酸化物質は認知症の原因といわれる脳内のアミロイドβタンパクの蓄積を抑制することが知られています。そのため、認知症の予防については抗酸化物質を摂取することが鍵ともいわれており、地中海食が推奨されています。
認知症予防への効果が期待されている地中海食についてご紹介してきました。地中海食と認知症の関係については、今も様々な研究が行われている最中ではありますが、自分の食生活を見直すきっかけになるのは非常に良いことであると言えるでしょう。
いずれにしても、地中海食は体に良いと考えられている食事方法。無理のない範囲で取り入れてみるのも良いのでないでしょうか。
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