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ホクト株式会社研究員にインタビュー

ヤマブシタケと認知症予防の第一線
ホクト株式会社研究員にインタビュー

当サイトの協賛である「ホクト株式会社」へ、様々な認知症予防に優れている食材があるなかで、なぜヤマブシタケに着目しているのか、そして今後目指しているものはなにか、インタビューを行いました。

インタビューに答えてくれたのは、ホクト株式会社のホクトきのこ総合研究所に勤める、薬学博士の森 光一郎さんです。

ホクトロゴきのこ総合研究所 森光一郎薬学博士

薬学博士 森 光一郎さん

ホクト株式会社
薬学博士 森 光一郎さん

おいしいキノコで将来の健康を守る研究

2020年12月現在、日本で唯一きのこ関連の東証一部上場企業であるホクト株式会社の薬学博士である森さん。年間1万株以上のきのこの育種・研究を行う、きのこ研究の中枢といえる「きのこ総合研究所開発研究課」で、きのこの健康効果を追及するスペシャリストです。
「きのこで健康な未来を叶える」をテーマに、日々キノコの新しい可能性に挑み続けています。

年間1万株以上のきのこを育種・研究する
ホクトきのこ総合研究所

インタビュアー:きのこ総合研究所とは、どういった取り組みをされているのでしょうか?

きのこ研究所イメージ

きのこ総合研究所は主に4つの組織があり、私がいるのは開発研究課という部署で、きのこ栽培の1番最初の部分を担っています。

開発研究課では、主にきのこの品種開発、野生種の人工栽培研究を行っています。弊社の主力商品であるエリンギ・ブナシメジ・マイタケなどは、1つの種類で年間3000株くらい交配をしており、すべてのきのこを合わせると毎年1万株以上。沢山のきのこを交配して新たな品種を作り、その中から選別を行い、優良品種を確立させています。

また、きのこの健康効果の研究も担当しており、ヤマブシタケの機能解析についても現在注力しています。

その他にも、製品の安全・安心を管理する品質管理課。きのこを栽培している全国のセンターには、大元となる種(最初の菌糸)は研究所から出しているので、その維持を行っている原菌管理課。そして栽培技術を開発し、生産センター・全国の工場にその技術を導入する技術開発課があります。

インタビュアー:世界の企業の中でも有数のきのこ研究の研究所と伺っていますが、食物の生産の研究所として、他社と比べて優れている点はありますか?

世界的に見ても、大手企業できのこを専門にしている研究所をもっているのは珍しいと思います。

と言いますのは、欧米ではあまりキノコ文化が発達していないからです。きのこと言えばボタンマッシュルームと呼ばれる、おなじみのまるっこいきのこくらいで。多種多様なキノコを栽培する文化というのは、中国、韓国、日本など東アジア中心の文化です。

そういったものを大量生産で大規模メーカーがやるということ自体、マッシュルームを除くと世界的にもそんなにないんですよね。ですから民間企業では弊社、その他は大学の研究機関や公的な研究機関になると思います。

インタビュアー:他の研究所にはない、ホクトきのこ総合研究所ならではの特徴はありますか?

当社では、きのこはすべて施設内で栽培しています。きのこの栄養になる培地と呼ばれるものを瓶に詰めて栽培するのですが、その培地の配合の研究から、収穫・出荷の管理なども技術開発課で開発。いくつか独自の技術を使って、特許なども取りながら研究・生産しています。

きのこ菌株の開発・研究をし、生産するシステムも、きのこ用の機械を開発するのも、それこそ山からきのこの原種を採ってくるところまで一貫して自社で行っているというのは、なかなかないはずです。

可能性に満ちた、きのこの健康分野への期待

インタビュアー:森さんがきのこの研究を行うきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

きのこ研究イメージ

大学と大学院の先行研究の中で、天然のきのこの成分を調べるという研究をやっていました。もともと化学成分には興味がありました。化学成分の中には、まだまだ未知の成分や役に立つ成分が埋もれているため、そういった研究ができる研究室を選んだのがきっかけです。

最初からきのこというよりは、自然界の中の化学成分を扱える研究室を選んだ結果、そこではきのこを題材にしていたという流れですね。海洋天然物や植物の化学成分を探索する研究室もありますが、私の大学ではきのこ研究が盛んで。

インタビュアー:そこできのこ研究の面白さやこれからの可能性を感じられたのでしょうか?

そうですね、きのこ研究界っていうのは、植物や動物の研究に比べると研究者も少ないですし、これまでわかってきている化学成分も少ないんです。未知の部分が多いからこそ、追求していく範囲の広い分野だと感じました。その知識や成果を生かせる企業として、ホクトは最適でしたね。

私が入社した当時は、あくまで食用分野でのきのこの研究しかしていなかったため、機能性の研究ができるように、10年間ほどは大学へ出向していました。大学で実際にきのこにどういう効果があるのかという研究を行い、研究のノウハウと共にホクトへ持ちかえりました。

当時は機能性を高めるきのこの開発というよりは、あくまできのこにどういう効果があるのかを深堀していくという研究でしたね。現在では徐々に研究が進んできて、特定の成分の多いきのこを作るといった研究も行っています。

健康で長生きできる社会への貢献を、きのこで叶える

インタビュアー:ホクトが食用分野だけでなく、健康分野への研究をはじめた理由はありますか?

弊社がきのこ事業を進める中で、国内外に美味しくて健康なきのこ文化を創造する企業への成長を目指すという方針になったことがきっかけです。

先代社長の水野正幸は、「みなさんが健康で長生きできる社会へ」という社会貢献的な想いが強かったため、美味しさだけではなく、健康への研究が活性化されていきました。そのため、食材としてただ提供するだけでなく、きのこで健康もお届けするという企業を目指しています。

今でもきのこは健康にいい、ヘルシーな食材というイメージがあり、実際コロナ渦でもきのこの売り上げが伸びていますが、ただ、なぜキノコがいいのかまでは、あまり知られていないと思います。

弊社の研究所でその答えを出し、優良品種を提供できれば、もっときのこの健康効果を知っていただける。「菌活」という言葉も自社で生み出し、「菌類を食べることで健康な体に近づける」という考え方を広めていくことも社全体で取り組んできました。

不老不死の薬であった「ヤマブシタケ」の研究

インタビュアー:ヤマブシタケに注目するきっかけはどのようなものでしたか?

きのこ研究所イメージ

高齢化社会が進む中で注目されているのが、認知症や物忘れといった認知機能の分野です。体も頭も健康でいることで、より幸せな暮らしが送れるという考え方ですね。その中でヤマブシタケへの研究報告が聞こえてきました。

ヤマブシタケは中国では不老長寿の生薬として扱われ、古来より書物に掲載されているものなのですが、認知機能に対する効果が知られるようになったのは比較的最近で、私が知る限りでは1990年代からです。

静岡大農学部の河岸洋和教授が、ヘリセノンという成分をヤマブシタケから特定しました。ヘリセノンを脳のグリア細胞(神経細胞を守るように囲っている細胞)に入れると、NGFという物質が多く放出されたため「ヤマブシタケは認知症にいいのではないか」という論文を発表したんですね。

参考元:CiNii『ヤマブシタケの抗認知症食品としての可能性』(https://ci.nii.ac.jp/naid/10021365510)

NGFは神経細胞を活発化させる、細胞死を防ぐ、新しい神経細胞を生み出すなどの働きを持っていて、アルツハイマー病の予防に使えるのではという研究がすでにされていたものです。

ただ、細胞実験のみの論文でしたので、本当に作用しているのか定かではないが、話題が先行したというか、そんな機能があるんじゃないかと話題になっていました。ちょうど弊社が本格的に健康分野へ取り組もうとしていたタイミングと合っていたため、では次はヤマブシタケを研究してみよう、となったわけです。

インタビュアー:ヤマブシタケの研究を始めてから壁にぶつかったなど、苦労されたことはありますか?

まず始めたころは、「グリア細胞をプレートで培養して、そこにきのこを入れるとNGFという物質が増えて、NGFが増えると脳にいいらしい」という情報しかありませんでした。食べて吸収されるかも、脳に行って神経細胞が増えるかも、まったく研究されていない状態です。

動物実験や人での実験などはまだされておらず、エビデンスを取るのは手探りの状態。どれくらい食べたらそうなるのかもわからなかったので、私も細胞実験でNGFが増えるということを確認することから始め、動物で記憶が上がるかどうかを行い、さらに弊社で独自に臨床試験を行いました。情報がなかったので難しいところではありましたね。

「きのこのホクト」だから実現した研究の数々

インタビュアー:ホクトのヤマブシタケ研究で自信を持っている部分はどこでしょうか?

自社が生産・販売しているきのことほぼ同等のヤマブシタケを使って臨床試験をし、認知機能が上がることを論文発表。自社製品でデータを取っているというのが強みだと思います。

例えば、きのこにヘリセノンが入っていたとしても、同じヤマブシタケでも品種や成長過程の環境や栄養分などで同じ量の成分が入っているかどうかはわからないんですよ。「このきのこにはこういう成分がある」という話はあっても、どこで作ったきのこか、品種はどうかで、成分量がちがうんです。

きのこの成分量の差は、品種や栽培条件で大きく変わります。ヤマブシタケも当然同じで、品種や栽培条件を合わせて、成分量を確認しながらヤマブシタケを育て、研究するのはなかなか大変です。ホクトきのこ総合研究所の規模や技術力だからこそ、可能になっているというのが、自信を持って言えることです。

インタビュアー:臨床試験の結果やエビデンスなどお伺いできますか?

きのこ研究所イメージ

まずは先ほども触れましたが、ヤマブシタケの成分とグリア細胞から「細胞でちゃんとNGFが増えるか」という確認から始めました。きのこの効果を細胞レベルで確かめるということですね。これにはもともと人由来のグリア細胞を使っています。

その次が、動物(マウス)にヤマブシタケを食べさせたときに、脳内でNGFが増えるのかという実験ですね。増えていそうだ、実際食べて何かしら脳に行って効いているんじゃないか、ということを動物で調べました。

マウスでは認知機能テスト「行動薬理試験」のひとつ「Y字迷路試験」というものがあります。マウスは1回入った道には戻らず、来た方と違う道に行くという習性があるんです。来た順序をちゃんと覚えていて。ですがマウスを認知障害にさせると、来た方向を忘れて、同じところにまた戻るという状態になります。そういった状態の時にヤマブシタケを食べさせるとどうなるのかという実験ですね。

ふつうのマウスはヤマブシタケを食べさせなくても、来た方と違う道に行くという習性通りに動きます。このマウスにアミロイドβという、認知症やアルツハイマー病で脳内にたまる毒性物質を脳内へ注入し、認知障害にします。そうなると、来た方向を忘れてしまうんです。

その後、アミロイドβを注入したマウスの半数にヤマブシタケを食べさせると、残りの半数よりも道を覚えている、忘れ度合いが減っている現象が確認できました。

インタビュアー:「ヤマブシタケを食べた結果、認知機能に働きがあった」と言えるということですね。

そうなりますね。他にも「新規対象認識試験」という実験も行いました。例えば赤い物体を置いたところにマウスを入れ、それを覚えさせて、またしばらく違うところに連れて行く。何日か後に再び同じところに入れ、今度は前に見せたものと、初めて見るものを置きます。

マウスは1回見て覚えていたものには興味を示さず、初めて見たものに近づいてにおいを嗅いだり、鼻でつんつんしたりするんです。ただ、記憶障害を起こしていると、1回見たものを初めて見たものと同じように探索します。

その時間を計算するっていう試験で、やはりアミロイドβを足して認知機能低下させても、ヤマブシタケを食べていればほぼ元のままになるという結果が出ました。

インタビュアー:認知機能を向上させるというよりは、認知症のような、認知機能の低下を妨げるような症状になったときに結果がでているということでしょうか?

この結果をみるとそうなりますね。もともと病気ではないマウスがヤマブシタケを食べても、通常よりもっと能力がアップしたというような結果は出ていません。認知機能低下が起きたときには、それを防ぐような働きが出ている、という結果です。

インタビュアー:では、人への臨床実験について教えてください。

臨床実験は軽度認知障害(MCI)と呼ばれる段階の方にご協力いただきました。年齢は50~80歳、平均年齢は60.3歳です。プラセボ食摂取のグループと、ヤマブシタケを1日3gずつ摂取するグループに分かれて、16週間観察するという試験です。

試験開始前とヤマブシタケ摂取を始めてから4、8、12、16週目の認知機能テストの点数を比較。結果として、ヤマブシタケ摂取の方は改善傾向、点数が上がる傾向がみられました。プラセボ摂取群は変わらない人が多い状態です。解析すると、摂取期間中徐々にヤマブシタケ群は点数が上がり、統計的に有意な差がつくのは8週目でしたね。

結果グラフ

これでやっと人が飲んでも効果が得られるのだと確信できました。ただ、重い認知症の方というよりは、これから認知症に向き合っていく年代の方に早めに飲んで続けてもらうのが理想ですね。

ただ、16週で試験食の摂取をやめ、後4週間の観察期間がありましたが、摂取をやめると徐々に結果が下がっています。やはり薬と違って、劇的な効果があるわけではありませんから、続けていくことで結果が出るのだと考えています。

10年後、20年後の自分や家族のための選択肢として

インタビュアー:認知症のお薬とヤマブシタケの併用なども考えられますか?

そうですね。認知症のお薬として知られているアリセプトの作用と照らし合わせても、それを阻害するような作用ではありません。NGFが出ることによって神経細胞死を抑制するんじゃないかという考え方に立てば、一緒に飲んでもらっても問題はないだろうと思っています。食品ですので、ヤマブシタケの副作用も今のところはありません。

そもそも、完全な認知症のお薬っていまだに開発できてなくて。残念ながらアリセプトも、根治はしないんですよね。服用から1年ぐらいすると、症状が進み始めるということをよく耳にします。やはり治るようなお薬がない中では、選択肢としてヤマブシタケとの併用や、お薬を飲む前からのヤマブシタケ摂取も視野にいれていただければと思います。

インタビュアー:ヤマブシタケはうつ病への働きの研究も進んでいると伺いました。

はい。発表されている論文の中には、メンタルヘルスへの効果が記載されているものもあります。ただまだはっきりと解明されている部分は少ないので何とも言えないですが、神経細胞か何かに作用しているのではと考えています。

認知症で記憶障害がおこると、精神的に不安定になっていく方も結構多いですので、そういったところにも臨床の結果が出てくると、よりヤマブシタケの有用性が明らかになってくるかなと思います。

「きのこといえば健康食材」から「健康食材といえばきのこ」へ

インタビュアー:今後ホクトではどういったヤマブシタケ研究に取り組んでいかれますか?

きのこ研究所イメージ

引き続き「なぜヤマブシタケが効果的なのか」のメカニズムの解明に尽力していきたいです。

また、弊社が出した臨床試験は、世界的な雑誌に載った初めてのヤマブシタケの臨床試験でした。この結果が出てからヤマブシタケへ注目してくれる研究者も世界的に増えています。今では欧米の研究者も参入し始めて、ここ数年で論文が増えてきているんです。どんどん裾野が広がっている状態ですね。

欧米の認知症の研究チームが研究を進めることで、今までなかったような研究論文が出てきています。世界的に注目しているところが増え始めたところで、研究が進みかけているかなというのは数年感じています。

どこかのチームが「これが効いている」というデータを出してくれるかも、と弊社でも期待しています。

インタビュアー:最後に、ヤマブシタケに限らずホクトきのこ総合研究所では今後どのようなことに取り組んでいきたいか伺えますか?

きのこ生産を単なる農林水産業・食品製造業としてではなく、健康産業の一角を担うような、きのこを通して健康を届けられるような仕事がしたいです。

いままではどうしても食材としてのきのこをクローズアップしていて、その脇に健康があったんです。ただこれから先は、「きのこといえば健康食材」というイメージから「健康食材といえばきのこ」と言われるくらいになっていきたい。

まだ発展途上ではありますが、最初に話した品種改良でも、「大きく育つか」「おいしいか」だけではなく、「成分量はどうか」を重視するようになりました。より健康な食材として出すために、より成分量も強いものを出すというところに力を入れています。

一般スーパーに並んでいるものを食しても直接健康につながる、というところを最終目標としています。

きのこはもともと、低カロリーで食物繊維が豊富という魅力があります。実際に、きのこは野菜類と比較しても多く入っています。食物繊維自体の量も多いですし、野菜に入っている食物繊維と種類が違うんですよね。

いろいろな食物繊維を取るのがいいということが、最近の研究で少しずつ分かってきています。いろんな食物繊維を取ると、いろんな善玉菌が増えるんです。いろんな善玉菌の多様性が増える、腸内菌層の多様性が増えるというのが非常に体にいいんじゃないのかというのが注目されています。ヤマブシタケに限らず、きのこを取ること自体が高齢化社会において重要になってくるはずです。

そのためにも、ホクトきのこ総合研究所が日本のきのこ研究を牽引する立場として、これからも尽力していければと思います。

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