【医師監修/ホクト株式会社協賛】認知症予防のための食事改善ガイド » 認知症予防に良いといわれるサプリ成分 » トリプトファンと認知症予防

トリプトファンと認知症予防

このページでは、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンについて紹介しています。どのような物質なのかという点や、認知症に対する効果はあるのかどうか、といった情報をまとめているので、参考にしてみてください。

認知症予防に効果アリ?トリプトファンとは

「トリプトファン」とは、必須アミノ酸のひとつであり、牛乳から発見されたものです。トリプトファンは乳製品や大豆製品など、私たちが普段口にしているさまざまな食べ物の中のタンパク質に含まれている点が特徴です。食物として摂取されたトリプトファンは、まずは肝臓や腎臓で分解されたのちにエネルギー源として私たちの体内で活用されます。さらに、このトリプトファンは脳に運ばれることによりビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともにセロトニンを生成する、という働きを持っています。脳内のトリプトファンの濃度が高まることでセロトニンの量が増えるとされています。

セロトニンとは「幸せホルモン」と呼ばれる物質ですが、このセロトニンが不足することによって不安感が出たり、睡眠障害やうつ状態が引き起こされたりするといわれています。このことから、トリプトファンはサプリメントの形で販売もされており、不眠解消などに期待が寄せられています。

トリプトファンの認知症に対する効果

トリプトファンに関する研究として、量子化学技術研究開発機構は、2021年に7種類のアミノ酸を特定の組み合わせで摂取することによって認知症の病態を抑止することを味の素との共同研究によって発見したと発表しています。この7種類のアミノ酸は、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、イソロイシン、ヒスチジン、バリン、トリプトファン。これらの組み合わせは「Amino LP7」と名付けられています。

認知症のモデルマウスにAmino LP7を与えると、認知症に関連しているといわれる異常なタウたんぱく質が脳内に蓄積していたとしても、神経細胞死による脳萎縮が抑制されることがわかりました。さらに、たんぱく質の不足は脳の萎縮を加速させるものの、Amino LP7を摂取することによって脳の萎縮が抑制されたという結果も得られています。

また、認知症モデルマウスでは脳内の炎症が活発化しており、神経細胞活性やスパインに関する遺伝子の発現が低下していることが確認されていますが、Amino LP7を摂取することによって遺伝子の発現が改善されています。このような脳内の炎症がなぜ改善するのかを確認するため、炎症に関わるキヌレニンの濃度を調査したところ、Amino LP7を摂取するとキヌレニンの脳内移行を抑制し、脳内の炎症を抑制するということがわかっています。

参考:ITmedia|7種のアミノ酸が脳機能を維持、改善して認知症の進行を抑える
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2111/11/news008.html

認知症への臨床試験などのデータ

このトリプトファンは牛乳にも含まれていますが、九州大学の清原教授らのグループでは食事や運動と病気の関係を調べるために大規模な疫学調査を行っており、その中で牛乳や乳製品がどのような効果を及ぼすのかを分析しています。その中では認知症との関連が浮かび上がってきたとされています。

対象となったのは、1988年に食事調査を行った認知症のない60歳から80歳の1006人。この方々の健康状態を追跡するとともに、どのような食事を摂っているのかという点、さらにその後の認知症発症との関係を調査しています。その結果、牛乳やヨーグルトやチーズのような乳製品、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、海藻類を多く取るという傾向があるとともに、米や酒の摂取量が少ない食事習慣を持つ人ほど認知症の発症リスクが低いという結果が報告されています。

また、60歳以上の1081名を対象とした調査においては、牛乳や乳製品の摂取量が増えるにつれて、アルツハイマー病の発症率が低下するという傾向も見られています。この結果は、血管性認知症においても類似した結果となっています。

参考:NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXDZO70121450Z10C14A4MZ4001/

含まれている成分/理想的な摂取量

トリプトファンはさまざまな食べ物に含まれている物質であり、例えばレバー(牛や豚、鶏)や小麦胚芽、牛乳、チーズ、バナナ、大豆、アーモンド、カツオ、マグロなどに多く含まれています。このトリプトファンは必須アミノ酸であり体の中で生成されない物質であることから、毎日摂取することが望ましいとされています。

ただし牛乳を摂取しようと考える場合には、毎日飲むといったように一定期間摂取し続けることが重要とされています。これは、牛乳に含まれるトリプトファンはたんぱく質のカゼインを構成するアミノ酸として存在しており、量も少ないためです。 また効率的にトリプトファンを摂取したいと考える場合には、サプリメントを活用するという方法もあります。

過剰摂取に注意

トリプトファンを適切な量摂取すると、不眠やうつ状態の改善が期待できますが、過剰な摂取には注意が必要です。特にうつ病治療を受けている方の場合は抗うつ剤との組み合わせによって血圧や心拍数の変化が見られたり、脳血管収縮障害が起きる可能性があるとされているので、投薬や服薬中の方はあらかじめ医師へ確認しておくことが必要です。

また、ラットを用いた実験によると、トリプトファンの過剰摂取は肝臓において脂肪の変化が起こることで肝硬変を招く恐れがあると言われています。肝硬変の治療を行っている方などにおいては長期的に摂取した場合にはセロトニンが過剰になることから脳の機能低下が起こり昏睡状態に陥ってしまう可能性も指摘されており、長期に渡っての服用は危険であるといわれています。

トリプトファンの認知症以外の可能性

トリプトファンは、認知症以外にもさまざまな可能性が挙げられています。いくつか期待されているものについて紹介いたします。

不眠の改善

前述の通り、トリプトファンは脳に運ばれた場合にはビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともにセロトニンを作り出す材料となることが知られています。セロトニンには不眠を改善する睡眠効果や精神を安定させる効果があるとされています。逆にセロトニンが不足すると、不安を感じたり睡眠障害が見られることがあります。

セロトニンは脳でメラトニンに変換されますが、メラトニンは体内時計を調整する働きがあるとされています。そのため、乱れてしまった睡眠のサイクルを正常に戻したり、時差ボケを解消するなど、私たちが生きていく上で欠かせない睡眠に対して影響を与える物質として知られています。以上のことから、トリプトファンは睡眠に関する悩みを改善する物質として期待されています。

痛みを抑える

アメリカでは、トリプトファンが鎮痛効果があることを証明するための実験が行われています。この実験は、あごに慢性的な痛みを感じている患者のグループを対象に行われたものです。対象者にトリプトファンを投与することによってセロトニン濃度を高めたところ、痛みが軽減したとのこと。さらに、歯に対して痛みが加えられた場合の耐性も強くなったと報告されています。

集中力や記憶力を高める

トリプトファンを摂取した場合には、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を作り出すためにチロシンとともに働くという特徴があります。このドーパミンやノルアドレナリンは、ホルモンの調節に関与している物質であり、気分を高めてくれるホルモンです。

これまで行われてきた研究により、トリプトファンが脳や行動障害の治療に役立てることができるということがわかっています。子どもたちに1週間トリプトファンを与えることにより、学習能力に関して良い結果が得られたといった報告も行われているようです。

月経前症候群の改善

PMSと呼ばれる月経前症候群の症状として現れるイライラの原因のひとつとして、脳内物質のセロトニンが不足していることが関係しているといわれています。これは、特に生理前にはセロトニンの分泌が減少するのでイライラなどの症状に繋がると考えられているからです。

そのため、セロトニンを作り出すのに必要なトリプトファンを摂取することが、PMSの症状を緩和する可能性があるとされています。

その他

上記で紹介したほかにも、トリプトファンを摂取することによってコレステロール値や血圧の調整、更年期障害の症状を緩和するなどさまざまな働きが期待されています。また、トリプトファンは体内の活性酸素を除去することから、老化防止に働きかけるとも考えられています。

このように、トリプトファンはさまざまな効果が期待されている物質といえるでしょう。

認知症予防効果で注目される「ヤマブシタケ」とは?

ヤマブシタケとは、認知症を防ぐ効果があるとされるヘリセノンという成分を含むキノコの一種。あの、ホクト株式会社が研究を進めている注目の食材です。その効果や研究結果などについてまとめていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

関連ページ

【医師監修/ホクト株式会社協賛】認知症予防のための食事改善ガイド

認知症予防に良いといわれるサプリ成分
アラキドン酸と認知症予防
ユーグレナと認知症予防
ビタミンCと認知症予防
認知症予防と核酸の関係とは?
βラクトリンと認知症予防
認知症予防とホスファチジルセリンの関係とは?
認知症予防とコリンの関係とは?
認知症予防とカテキン(EGCg)の関係とは?
認知症予防とカルノシンの関係とは?
わさびエキスと認知症予防
ロイシンと認知症予防
認知症予防とEPAの関係とは?
認知症予防とノビレチンとの関係とは?
認知症予防とクルクミンの関係とは?
認知症予防とDHAの関係とは?
ビタミンB群と認知症予防
認知症予防とビフィズス菌の関係とは?
認知症予防とヒスチジンとの関係とは?
認知症予防とヘリセノンの関係とは?
セロトニンと認知症予防