脳機能に欠かせないプラズマローゲンですが、認知症予防によい成分としても注目されています。ここではプラズマローゲンに期待できる認知症予防への働きや、臨床試験などのデータについてまとめました。
プラズマローゲンとは、脳・心臓・骨格筋・マクロファージなどに多く含まれているリン脂質の一種。脳は臓器の中でも非常に脂質の多い組織ですが、その約半分を占めているのがリン脂質です。プラズマローゲンはそのリン脂質の約18%を占めている物質であるため、脳機能にとって重要な働きを担っていると考えられています。
人間の脳は神経細胞から伸びた突起を配線とする神経回路から成り立っていますが、この回路へ電気信号を送ることによってさまざまな運動を行ったり、感情を実感できます。
この神経突起は、絶縁体として働く「ミエリン(髄鞘)」と呼ばれる膜状の構造物によって何重にも取り囲まれています。ただし、このミエリンは神経突起全体をぴったりと覆っているわけではなく、一定の感覚を開けて覆っており、この隙間でのみ活動電位を発生させられます。すなわち、ミエリンがあることで神経突起では隙間を経由して活動電位を伝えることができ、情報伝達が格段に早くなります。さらに、ミエリンは神経細胞間でさまざまな神経機能を調節するという働きも持っています。このミエリンの主要成分がプラズマローゲンであることから、プラズマローゲンが不足すると、ミエリンを正しく作れず、脳が十分に機能を発揮できなくなってしまいます。
参照:おかもと頭痛めまいクリニック(https://www.okamoto-oc.com/plasmalogen/#:~:text=プラズマローゲンはすべての,多いという特徴があります%E3%80%82)
人間の活動に不可欠な脳は、日々の生活の中で活発にエネルギーを消費して働いています。そのエネルギーを消費する際に発生するのが、老廃物である活性酸素。この活性酸素は神経細胞などを酸化(老化)させる物質ですが、それを防ぐのが高い抗酸化作用を持つプラズマローゲンです。
臓器のなかでも脳は酸素消費量が多く、大量の活性酸素が絶えず発生していると考えられるため、プラズマローゲンの維持は認知症をはじめとする疾病予防に効果があると言えるでしょう。
プラズマローゲンはアルツハイマー型認知症の予防効果についても示されています。
アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβは加齢によって増加していきます。プラズマローゲンにはそのアミロイドβが脳細胞に蓄積するのを防いだり、さらには分解を促進する作用があるとのこと。つまり、将来的な認知機能の低下にを防ぐための対策として、期待が持たれている物質なのです。
参考元:三生医薬株式会社(http://www.sunsho.co.jp/LP/hoya/about_plasmalogen.html)
福岡大学附属病院が行った、プラズマローゲンによる認知機能改善についての臨床研究です。
この研究では、軽度・中等度の認知障害を持つ40人にプラズマローゲンを含有した飲み物(偽薬・低容量・中容量・高容量の4群各10名)を投与。6ヶ月間の投与後にMMSE(認知機能検査)を行ったところ、実施前に30点満点中平均19.3点だったスコアが、平均21.5点まで上昇したとのことです。
参考元:AMC健康成分ラボ(https://www.amcare.co.jp/amc_labo/plasmalogen/expert/expert_001.html)
この研究では、DHA・EPAを結合された形で持つホタテプラズマローゲンを食品化し、経口投与で臨床試験を実施。
その後MMSE(認知機能検査)を行ったところ、ホタテプラズマローゲンを摂取した患者の5割に「顕著な改善」が見られたとのこと。その他の患者も現状維持がほとんどで、症状が悪化する患者は少なかったとのことです。
参考元:プラズマローゲン研究会(https://pls.jp/pls)
プラズマローゲンを摂取する上では、理想的な摂取量を知っておくことが必要です。ただし、学術的なエビデンスがないため、各社から市販されているサプリの含有量を確認してみると「1mg~1.2mg」となっています。
さらに、プラズマローゲンの推奨摂取量は1mgとしている資料もあることから、「1日あたり1mg」がプラズマローゲンの理想的な摂取量であると考えられるといえるのではないでしょうか。
さまざまな研究から、プラズマローゲンは認知症以外にも生活習慣病やうつ病など、さまざまな疾患に関連していることが示唆されています。ここでは、プラズマローゲンの可能性についてご紹介します。
現代では、「脳ストレス」を抱えている人が多いといわれています。ストレスによる負荷がかかりすぎると、大脳新皮質と大脳旧皮質のバランスが崩れてしまいます。
人間の本能を司る旧皮質の機能不全が起きてしまうと、五感や行動の変化、身体異常が起きますし、人間の理性を司る新皮質経路の機能不全が起きると認知の変化や感情変化、うつ状態といった影響につながります。
このように、脳が正常な機能を果たすことが難しくなることで、生活習慣病・うつ病などの病気につながってしまうと考えられています。
脳ストレスを溜め込むと、心身ともにさまざまな影響が起きてしまうと考えられてることから、脳ストレスを溜めないように積極的に解消するために行動することが大切です。例えば十分な睡眠や規則正しい食事、軽い運動のほか、趣味や知的活動に取り組むことが脳ストレスの解消につながるといわれています。このような習慣を意識することで脳ストレスを解消すると、新皮質と旧皮質のバランスが整えられて心身共に整えられるといえるでしょう。
何歳になっても健康で自分の意思で生活を送るためには、やはり「予防」が大切です。予防にはこれまでの生活習慣そのものを見直して血圧や脂質、血糖、喫煙など考えられるリスクを減らすことが有効であると考えられます。加えて、生活習慣やうつ病の予防のために行う対策としては、これまで紹介してきたプラズマローゲンの可能性もあるということを覚えておくと良いでしょう。
引用元:メタボリックシンドローム予防素材としてのプラズマローゲンの生理作用の解明(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19780091/)
ヤマブシタケとは、認知症を防ぐ効果があるとされるヘリセノンという成分を含むキノコの一種。あの、ホクト株式会社が研究を進めている注目の食材です。その効果や研究結果などについてまとめていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。